天文館の夜

愛しいあなたの 面影が
グラスのお酒に また浮かぶ
雨に滲んだ 天文館に
明日をなくした 女がひとり
ポツリ止まり木 夢に酔う

遠くに霞んだ 桜島
抱かれたあの日の 夢あかり
星が降るよな 天文館で
いつかおまえを 迎えに来ると
小指差し出し 言ったひと

港の霧笛が 胸を刺す
錦江湾から 船が行く
月も哀しい 天文館に
追ってゆけない 女がひとり
待って見送る 春いくつ
×