御所車(香に迷う)

香に迷う
梅が軒端に匂い鳥
花に逢瀬を待つとせの
明けてうれしき懸想文(けそうぶみ)
開く初音のはずかしく
まだ解けかぬる薄氷

雪に思いを深草の
百夜も通う恋の闇
君が情の仮寝の床の
まくら片敷く夜もすがら
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