風のソネット

ほんのひとときだけの はなればなれ
秋の匂いの風が 夢を醒ます
あなたの汽車が先ね 重いカバン
すぐ都会で会えるのに 涙にじむ
高原ですごした夏は
かけがえのない きらめいた日々
何故早く逢わなかったの
毎年すごす避暑地
一度も好きだと言ってくれない
照れ屋のあなただけれど
白樺並木の風は知ってる ふたりだけのサイン
私もすぐに帰る 帽子おいて
あなたのいない避暑地 急に翳るわ

ほんのひとときだけの はなればなれ
秋の匂いの風が 夢を醒ます
ひとけないテニス・コートで
走るあなたの姿をなぞる
離れるとわかるものなの
どんなに大事なひとか
一度も好きだと言ってくれない
照れ屋のあなただけれど
白樺並木の風よ伝えて ありったけの愛を
手紙を書いてみるわ こころ 綴り
ほんのひとときだけの はなればなれ
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