梅雨明けの頃

坂の下から見える かげろうの中を
大きな背中を向けて 去って行くあなた
雨があがったあとの 木陰はまだ
しずくの声を残している
別れが通り過ぎる
かすんでゆく目の前
静かにさえぎる蝶が空へ

いつか季節を重ね忘れたはずなのに
今でも 目覚める時に横顔が浮かぶ
雨があがったあとの通りはもう
子供の中に溶けてゆく
涙も笑い声も
ゆくあてなくさまよう
静かにさえぎる蝶が空へ
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