バラの誘惑

バラの花 しきつめた
うす明りの 部屋の中
あの人の くちびるが
私の目に近づく

息もとまる バラの匂い
何故か こわい
今夜だけは許してね
好きなんだけど

一度でも愛したら 涙はもう止まらない
風に散る花よりも 悲しい子になるでしょう

あの人の 横顔が
淋しそうに 見えたから
私から くちづけを
求めていってしまった

バラの棘が 肌に痛い
もうかえれない
どうか遠くに連れてって
私を抱いて

朝が来て私は ぬれた頬をふきもせず
遠ざかるあの人の 靴の音を聞いてた
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