燃える海

何も言わずに 海をみつめてた
訳もないのに 泪こぼしてた
とても身近に あの人を感じてた
肩に水着の あとが目立ってた
指ですくった 砂が乾いてた
胸のどこかに 淋しさが出来ていた

あの人が割ってくれた
食べかけのリンゴを
そっと口の中で噛みくだいた
恋の想い出――

人に逢うのが 何故か恐かった
嘘をつくのが 何故か恐かった
熱い出来事 海だけが知っていた

赤い夕陽が 海に落ちていた
白い水鳥 波に浮かんでた
言われないのに サヨナラを知っていた

あの人の肌にふれた
はまなすをちぎって
そっと泪ぐんで水に投げた
恋の想い出――

人に逢うのが 何故か恐かった
嘘をつくのが 何故か恐かった
熱い出来事 海だけが知っていた
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