能登島みれん

ひとり旅する 女の宿は
雨の音消す 渚波(なぎさなみ)
海の向こうは 七尾の灯り
泣けとばかりに またたき揺れる
夢のなきがら 男の背中
鴎がつつく 能登島みれん

向田(こうだ)火祭り 大松明(おおたいまつ)は
夜空めがけて 燃えさかる
海に倒れりゃ 大漁まつり
山に倒れりゃ 豊作まつり
恋の松明 誰にも消せぬ
秘めた炎の 能登島みれん

青くきらめく 光の帯は
わが身光らす ホタルイカ
海を流れて 淋しかないか
ひとり化粧は 淋しかないか
宿の鏡台 細目に開けりゃ
泣き顔映る 能登島みれん
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