2040

残酷なやり方で
あの子の純朴さを奪わないで
ライターの熱を近づけて
溶けた涙なんて嘘さ
不健康だよ

魔法が解けて日が差せば
この可愛いまつ毛ともお別れかな
さかりのついた十代みたいに
無防備でタフな箱舟に乗せた愛の言葉
暗い海に浮かべたりしたい

大人びた香りをまとって
歪な影はみるみると広がってゆく
カーテンの裏の企み ニヤつき
足音 四隅の見えない散らかり
張り付いた夜が律儀に剥がれていくよ
だから今だけ無邪気に喋ろうよ
涙をこらえて

世界は終わる それなのに
昨日と変わらず服を着て
過ごしています
今日まで生きた僕らがおかしくて
しゃかりきに何か伝えようとするテレビの音
プツンと切れて それからは知らない

確かにそこに暮らしがあった
スパルタンもジョーカーもいない街さ
見放された虫かごの中みたいだね
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