悲願花

気のない言葉の やりとりに
そぞろ歩きの 夏の夜
乙女はしばし 立ち止まり
溜息まじりに 草をかむ

何故か悲しき ヴィオロンの
心をふるわす セレナーデ
身のほど知らぬ 恋なれど
神も見捨てし 恋なれど

手首に流るる 血の色は
恨み忘れし 赤き色
かすむ景色に いささかの
未練は残れど 悔いはなし

人の心の移(うつ)ろいは
まず避(さ)け難(がた)き 真実(まこと)なり
人の命の はかなさは
悲しきゆえに 美しき
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