そこはかとなき欧亜

列車は夏を貫くみたいに
私を欧亜へと連れてゆく
骨董品が浮かんでる洋卓
氷を水で洗うような戀愛

耳の奥で鳴りやまぬ幻聴
手風琴の古い調べの果て
貞節な態度で復習ってね
いつか遭えるでしょうか

己惚に似た若い美人草を
嬰児の静かに睡るうちに
病室の隅に活けてみたり
顔を頬杖で支えてみたり

画舫が導いてくれたのは
地獄より深い手紙の結末
此処に向かう黄色い腕よ
自然を求めてくれまいか

生活と芸術との結婚より
潔く清いものを知らない
女は男の生活を愛さない
男は女の芸術を信じない
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