蛮カラ一代記

花は桜木人は武士
見事散るのが冥利とて
抜かば刃文も馨(かぐわ)しく
咲いてみせよう男花
ソレ

寄せる荒波受けとめて
沖を睨まう岸壁よ
雨の穿(うが)てどへこたれず
どんと構える男意気
ソレ

酒は盃実は器
色をめかすが習いとも
胸に刻みし志
ぐっと我慢の男振り
サテ

右や左の檀那様
俺の話を聞いとくれ
生まれ奥州在郷の
山猿相手に相撲取り

蛮カラ一代記
蛮カラ一代記

国の親父の言うことにゃ
本懐曲ぐるは女子なり
末の娘は人買われ
ほんにこの世は儘(まま)ならぬ

蛮カラ一代記
蛮カラ一代記

富士の裾野(すその)に降り積みし
雪の白さに似た人よ
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