ブルーフィルム

みんな青春が死んで大人に落ちていっちゃったあの日。
あぁ、僕はただ、誰かの体温と同じになりたかったんです。

空気が薄い映画館が良くて、
誰かに「大好きだよ。」って言って欲しくて、
どんな手でもギュッて握ってみたよ。
全部、義手だったんですけどね。

みんな青春が死んで大人に落ちていっちゃったあの日。
あぁ、僕はただ、誰かの体温と同じになりたかったんです。

古いベッドと黄ばんだシーツで、
名も知らない嘘と抱き合いながら、
今日だけは 1人で落ちてみます。
だって、朝日は昇るから。

カタカタと音を立てて映写機は回ります。
色褪せた青い場面、スクリーンに映します。

もつれ合う弱い声はちっぽけな強さになり、
凍てついた僕の時間、温かい胸の中で壊すでしょう。

幾つもの高い壁と幾つもの深い傷に、
言葉もなく打ちのめされて、それでも歩くのなら―――。

カタカタと音を立てて映写機は回ります。
色褪せた青い場面、スクリーンに映します。

何気ない優しさはぼんやりと腰を下ろし、
こわばった僕の心、張りつめた糸も切らし―――。

「誰の為じゃない自分の為に、
みっともないくらい泣くのもいいさ。」

誰かの体を散歩します。
夜明けまで散歩します。

もつれ合う弱い声はちっぽけな強さになり、
凍てついた僕の時間、温かい胸の中で壊すでしょう。

―――行き場もない僕に告げたブルーフィルム。
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