砂の城

赤い海へ陽が無言で沈んで
空翔る鳥は自由に歌っている

自由を追うことを
止めたそのときに
ひとははじめて自由になれるのに

青い葉や花がやさしくひらいて
鮮やかな色で自然に笑っている

自然でいることを
止めたそのときに
ひとははじめて自然になるんだ、と

強がるように いつまでも
砂の城には住んでいられないさ

新しい波が時代をさらって
遠い日の夢や自分を流していく

自分をさがすことを
止めたそのときに
ひとははじめて自分を知るんだろう

何も言わない海
何も知らないふり
波が砂の城を崩していく
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