酒しずく

バスは二日に 一度だけ
山の谷間の ふる里よ
捨てたつもりが 今さら何で
何で浮かぶか コップ酒
どうしているか 妹は

渡る世間の 冷たさに
心寒々(さむざむ) 裏通り
手紙ひとつも 残さず越えた
越えた日暮れの 峠道
幾年(いくとせ)過ぎた あの日から

星が煌(きら)めく あの夜空(そら)は
今も変わらぬ ままだろか
悔いはしないと 飲み干す酒に
酒に涙の ひとしずく
今夜の夢で 帰ろうか
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