carpool

まだ暗いうちにこっそり
待ち合わせて 海へ行こう
ぼくら いつか遺した
悪い秘密の日記を持って

サイダーみたいな空気で
満たされている 朝の中
眠たそうに前を向いた
きみの眼はなにを見ていたんだい

運転席はいつだって
きみだけの専用席で
オープンカーに飛び乗って
海沿い だらり 走る
隣の席はいつだって
ぼくだけの特等席で

いつのことだっけな

あのころのきみには
はやすぎて 追いつけないや
ガラスの瞳で
ぼくを見て 迷子みたいで

数年先はいつだって
空想の話みたいで
数分あとのことだって
わかっちゃいなかったんだな
冷たいだけの質量が
残酷にぼくに告げる

夢じゃないんだってさ

届かない
どうして?

さざなみのあいだから
きみが呼んでいる
うたかたの日々はさ
ぼくらだけのものだよ

水平線の先なんて
知りたくもなかったよ
運命なんて捨てよう、って
あのとき 言えなかったな

運転席はいつだって
ぼくだけの専用席で
オープンカーに飛び乗って
海沿い ひとり 走る
隣の席はいつだって
きみだけに空けてあるよ

すぐ追いつくから
その場所で待ってて
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