金木犀

長所のない私です
まぐわいの後の一刻に
心躍らず夢から温度だけ
吸い取られてゆく まるで一人

身をよじる 朝になる
途切れますように

金木犀 揺れる頃
あなたには言えない
甘い香りにすぅと溶けてく
染まる頬 脳裏に影 影

長所のない私です
築きあげた結び目を解く
何も聞こえず夢から温度だけ
切り離してゆく 今日も一人

貪る目 眠れない
途切れますように

金木犀 揺れる頃
あなたには逢えない
甘い香りに泳ぎ疲れて
密やかに浮かぶの 影 影

この身ごと 捨て去って
構わないでよ

金木犀 揺れる頃
あなたには言えない
甘い香りにすぅと溶けてく
染まる頬 脳裏に影 影
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