寂しさに理由はない

眠りこけた部屋の窓
指先は痺れたまま

朝靄に溶けて消えた
ため息と珈琲の香り

風雲が空隠して
土の匂いを連れてくる

カップ握る手のひらは
春が来るのを待っている

生ぬるい憂鬱は
いついつまでも記憶の奥の方
まどろみの中でぽつり
寂しさに理由はない

夕焼けのオレンジが
都会の色を消していく
黄昏の中でぽつり
寂しさに理由はない

寂しさに理由はない
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