ほおづえをつく女

振り向きもせずに男は去った
女は半年泣き続けた
薄暗い部屋でほおづえをついたまま
幸せな日々を思い出していた

何故すてられたのかもわからないまま
女は半年泣き続けた

新しい季節が女を変えた
出会いを求めて街に出た
髪を切り胸のボタンひとつはずして
化粧直して女は生まれ変わった

お茶を飲みながらほおづえをついたまま
女は男を捜しつづけた

女はそっと煙草をくわえた
男はすかさず火をつけた
かげりある女はとてもきれいに見える
思わず誰でも手をさしのべてみたくなる

灰皿の中の古い燃えさしがまた
新しい炎で燃え上がった

数える間もなく時には流れた
振り向きもせずに男は去った
慣れすぎた暮らしに女は甘えすぎて
男の心にまでほおづえをついてしまった

夜空の星がとても美しいのは
ほんのすこし光っているから
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