風の香り

君が出て行った部屋には
からっぽの心が残った
冷たい言葉を言ったのは
僕の方だったけれど
今日も郵便ポストに
君からの手紙をさがしに行く
窓辺に届く秋風は
君のとかした髪の香りさ

君が出て行った朝には
トーストの香りがしていた
冷たいコーヒーを飲みながら
君のカップを見ていた
うっすら赤い口紅が
まっ白なカップの端についていた
コスモス揺らす秋風は
君の残した紅の香りさ
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