風物語

男はよー 夜明け篝火(かがりび) 船漕ぎ出して
女はよー 浜で飯炊き 帰りを祈る
男はよー 板子(いたご)一枚 命をけずり
女はよー 銀の鱗(うろこ)の 持(も)っ籠(こ)を担ぐ
百年の 風吹きわたり
鰊(にしん)消えても 情けは燃えろ
北の漁師は 真っ赤に 真っ赤に 血がたぎる

男はよー 時化(しけ)た夜には 無口で酒を
女はよー 明日(あす)は大漁と 笑顔を見せる
男はよー 躰(からだ)きしませ 暮らしを支え
女はよー 愚図(ぐず)る子供を 抱きしめあやす
百年の 風さらされて
壊れ番屋に ハマナスひとつ
誰の化身(かわり)か 真っ赤に 真っ赤に 咲いてやれ

百年の 風物語
歌はきれぎれ ソーラン節よ
にしん街道 真っ赤に 真っ赤に 陽が沈む
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