盲目のピアニスト

名前もわからないあなたが立っていた
「準優勝です!お祝いの言葉を」
いかにも優しく壊れないように
話しかけていたあの人も
僕らからは痛々しく見えていた

溶け出した未来が「見えない」
涙の雨で滲んで
消えない痛みが胸の真ん中でもがく
重なった手の平、見えない
「どうか離さないでいて」
言葉は要らないかのように
優しく撫でた...
「どこにもいかないで」

「あれもこれもどうでもいい」だなんて
零れ落ちた言葉の意味を問う
手放す勇気があるなら、繋ぎとめる力は?
手が届く距離にあるなら今掴んで離すな

溶け出した未来が「見えない」
涙の雨で滲んで
消えない痛みが胸の真ん中でもがく
重なった手の平、見えない
「どうか離さないでいて」
言葉は要らないかのように
優しく撫でた...
「どこにもいかないで」

触れ合った指先、確かめ合うのは
愛ではなく
ここにいる事を示す約束の音色
書きかけの曲節、確実に書き上がって消える
終わらないでと何回も願う僕らは
曲が鳴り止んだら…
さよならをしようか
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