雪行路

ひゅるりひゅるひゅる 吹雪が疾風(かぜ)が
礫(つぶて)のように 頬を叩(う)つ
人眼を避けて 噂を避けて
逃(のが)れる信濃(しなの)は 雪の中
「離れない」「離さない」
ふたりは死ぬまで 一緒です

祝う人ない ひと間の部屋で
三三九度の 酒を汲(く)む
あなたは将来(ゆめ)と 故郷(こきょう)を捨てて
わたしは両親(おや)さえ 捨てて来た
「悔やまない」「悔いはない」
一生あなたに ついてゆく

肩の寒さに 目覚めた夜更け
凍(しば)れて外は 雪荒野(ゆきこうや)
慣れない土地の 馴染めぬ暮らし
あなたがいるから 耐えられる
「生きるのよ」「生きてゆく」
ふたりは死ぬまで 一緒です
×