最期にして至上の時

冷えこむ晩に月が出れば
きっとそれがあなたと
池の水面 小石投げた
ゆらり揺れて爆ぜた

月は次第に細く欠けて
一生を告げてみせた
夜明けの前にもうお行きなさい
言の葉降りて

顔を上げ未練を断ち
この世の無常 この身に背負う
五臓に触れ 此岸に立ち
荊の路頭
祈りの向こう

夜空仰ぐことも忘れ
宿らぬ意思のまま
ひねもす業に蝕まれて
ふと肩を落とせば

あなたがいて幸せだった

最期にして至上の時
我が身の不浄 流れてゆけ
五臓に触れ 胸を穿ち
祈りの向こう
めぐり逢えると
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