平凡

あなたをみた 風のまんなかで
右肩を下げぎみに 歩く癖
嬉しそうでも 辛そうでもなく
ただ 少しだけ 疲れて

並木道の 向こうからくるバス
乗り込むあなた 振りむいた……

何も言わないで 何も言わないで
気づいても 人違いにしておいて
何も言わないで そうよ言わないで
私も 夢をみたと 信じるから

変わらないの この古い街は
永遠に 季節をくり返して
秋に散った イチョウも春には
やわらかな葉を やどすわ

家族の待つ 灯りへ伸びる影
それを“平凡”と思わない……

何も言わないで 何も言わないで
触れないでいい愛だって あるはず
何も言わないで そうよ言わないで
全て失う 勇気がないのなら

一番に好きな人とは 結ばれないと、知ってる
受けとめて 逆らわないで 風景みたいに 生きたいの

何も言わないで 何も言わないで
やさしい嘘も あぁ 時にはついて
何も言わないで そうよ瞳の前の
空気のような愛を 大事に、して
空気のような愛を 大事に、して
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