啼くな小鳩よ

啼くな小鳩よ 心の妻よ
なまじなかれりゃ 未練がからむ
たとえ別りょうと 互の胸に
抱いていようよ おもかげを

旅ははるばる 涯ないとても
呼べば届くよ 夜毎の夢に
思い出したら 祈ろじゃないか
つきぬえにしを 身の幸を

さらば小鳩よ 心の妻よ
瞳曇るな また逢う日まで
帽子振り振り 後ふり向けば
曉(あけ)の野風が ただ寒い
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