夜想

雲ひとつない空を眺めていた
あんたらみたいで吐き気がした
心の価値も知らないで
幸せそうに笑うなよ、ほんとさぁ

今更になって思ったんだ
僕がいなくても世界は廻る
それなのにしがみついて生きてるのが
虚しくてさ

音楽は裏切らないから
縋り付くように歌を書く
幸せになりたくてさ
不幸な歌を書いてる

幸せになんてなれるものか
もう、分かってたんだ
悲しみを受け取る覚悟もないし
真っ白なシャツに染み一つ付いた
もう捨ててしまおうか
そこから目が離せなくなる前に

君のことを抜きにしても
人生はどうにも生き辛く
言葉を飲み込めないから
ずっと蹲っていた

もう、ちょっと静かにしてくれよ
分かったつもりで笑わないで

夕焼けが眩しくてさ
君を失う詩を描いてた

憂いも知らないあんたらなんかに
分かるものか
本当の孤独の意味なんて
きっとこれからも笑いながら生きていく
お道化を演じて
今しがた飛ぼうとしてたとこですが

あの日から何ひとつ違わない思いを描く毎日だ
薄くなった君が目に付く
描くほどに薄れてく
また、夏が来る

朝靄に目が眩んでいたんだ
葉に露一つ光る
きっとあれは嬉し涙だ
ならば今僕が濡れるは
僕に降らるは
藍色の夜露だ
君が薄くなる度濃くなる夜露だ

幸せになんてなれるものか
もう、分かってたんだ
悲しみを受け取る覚悟もないし
真っ白なシャツに染み一つ付いた
悲染みとでも言おう
どうせ目は離せやしないんだ

だからもう全部捨てて逃げたんだ
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