ライター

あなたが置いていった切れかけのライター
部屋を出るときわかってた気づいてた
はずだった洗い場に散らかった灰が
部屋に舞って落ちていった

ひとりぼっちは慣れっこだった
朝も夜も帰らないあなただったから
ただ今ただいまが無くなったこの部屋
涙が止まらないの

もしも取りに帰ってくるならって
残されたライター眺めたまま
連絡先はまだ消せなくて

あなたは知らない何処か知らない女のベランダ
新しい火種をつけているの
取りに来るまでもないなんてことはわかってる
でもちょっとだけ期待させてね

並んだCDやマンガや映画の部屋に散らばる娯楽は
あなたの好きなものばかり

逸れた思いハグした二人で一つの枕には
あなたの香りがまだ残っていた

わたしの知らない顔が知らない甘い言葉が
新しい身体を濡らしてるの
嘘ばかりの愛してるってわかっているのに
もう一度もう一度って
囁かれた左耳がうずいてる

帰ってこないで帰ってきてって交互に繰り返してる
私だけって私だけってどこかまだ信じてしまう
あなたの帰りをまだ望んでしまうから
切れかけのライターベランダに戻した
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