過去の色素

トンネル満たすのは飛沫 紅の結晶
壁際 血のアート
ふいに現れては消える 流離の行商
過去なら売り切れ

僕はずっと前にもここへ来た気がした
言葉をひとつだけ交わしたんだ「おかえり」

双眼鏡を持ってどこへ行こうか
青い春と遠い思い出
九回裏の雨 白球打ち上がった
君の髪を揺らす海風

針の先 溢れ出す虹の上
遠のいて翻る 深い場所まで
沈み込む身体には感覚はない
始まりの静けさだけがここにある

明日の誰かへ手紙を書いた
震える文字さえ徒然
ライラックグレイの夕景
放物線描いて 日々と君は離れ離れ

さあ 抉るように切り取って
シャッター刻めレンズ
褪せる色素なぞって 鮮やかなレタッチ
黒塗りの底まで シャッター刻めレンズ
君は目を見開いた

振り返ると誰かの懐かしい気配がした
涙だけいつまでも透明だった

双眼鏡を持ってどこへ行こうか
青い春と遠い思い出
九回裏の雨 白球打ち上がった
君の髪を揺らす海風

明日の誰かへ手紙を書いた
震える文字さえ徒然
ライラックグレイの夕景
放物線描いて 日々と君は離れ離れ
×