四月が君をさらってしまう前に

誰よりもそばに居るはずなのに
誰よりも遠いこの距離感と
歩き出せないままの僕と
未来を見据えた君

卒業までの何気ない毎日を
あと何日だっけ?
指折り数えていた
桜が咲く頃になれば
僕ら離れ離れだ

君が「撮って」って言った
首を縦に振るしかなかった
見せたいのが僕じゃなくて
他の誰かだとしても

ファインダー越しにみてた
小麦色の肌
ぼやけて見えてるのは
ピントが合ってないのが理由ではないみたい
綺麗で 切なくて痛くて

理想を並べて言い合ったこと
少しだけ期待してたんだけどな
君の口からはいつまでも
僕は出てこないんだ

たった一言がずっと
言えないまま時が経って
同じように次から次
季節も流れていた

フィルムに映ってた
君の表情で
なんとなく理解して
隣に並んでた
誰かを問いただせずに
そっと飲み込んだ

カレンダーに書き込んだ
告白の文字が
薄れてぼやけていく
四月が君のことさらってしまう前に
どうしても会いたくて
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