風の追分

生きてる海へと 舟を出し
死んだ恋など 捨てなされ
東京育ちにゃ なおさらに
吠える海鳴り 聞きなされ
風はこころの 古傷(きず)を消しながら
風の追分 おとこの子守唄

凍った過去(むかし)が 解けるまで
もっと自分を 鞭(う)ちなされ
囲炉裏のぬくみが わかるまで
少しお酒を 飲みなされ
風は重たい 涙ころがして
風の追分 おとこを泣かす唄

じいさま漁師の 口説(くどき)だと
聞いて流して おきなされ
祠(ほこら)の菩薩を 拝んだら
明日を探しに 行きなされ
風は夜明けの 夢を漕ぎながら
風の追分 おとこの叫び唄
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