Call

帰り支度の最中にひとことだけ
言い残して 僕の返事なんて聞かずに
遠ざかっていく足音と君のなまえ呼ぶ声
窓枠が肌にかける日差しのボーダー

このまま家に帰るにも 何かしなきゃ落ち着かない
君に褒められたスニーカー 珍しく洗ってみようか

頭の中を駆け巡りあそばせ
「今夜、電話掛けるから」なんて
高鳴る胸に気付かないでいてね
遠まわりでもして帰ろう

いつもは曲がる階段を通り過ぎて
新しく建ったブランジェリー バターの香り
初めての公園に立ち寄る 掲示板に貼り紙
今年中になくなる遊具があるらしい

「四月の空気が得意じゃない」
こっそり教えてくれたね
意外とも君らしいとも 思えるから僕は笑った

頭の中を駆け巡りあそばせ
「今夜、電話掛けるから」なんて
待ち侘びたコールを 慌てて切る僕さ
そのままで待ってて

他愛ない会話 こぼれ落ちる不安に
気の利いたことなんて言えない
何となくで選んだ 遠まわりの途中で
君の声だけが聞こえてる
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