春に迷い込んで

暖かな日差しが静かに教えてくれる
「冬はもう終わったんだ」って
頼んでもないのに

あの人はきっと寒がりだった
寒がりなだけだった

春に迷い込んで
あの人を探したってどこにもいない
こんな不毛な恋心など
この桜のように 散って仕舞えよ

野に咲く花たちが静かに笑ってくれる
ひとりぼっちの私のこと
一つ残らず摘んでしまおうか

私だけ 私だけが
新しい季節へ追い出されて
君がいない 君がいない
何も持たずに放り出された春

いつだって手を繋いで歩いた
いつだって抱き合って眠った
私じゃなくてもよかった
春なんか来なきゃよかった

からっぽになった私にも
季節は巡ってくるのね

どうしようもないほどの虚しさも
もう一度あの季節が来る頃には
救われてるかな

色のない春に迷い込んで
あの人を探したってどこにもいない
こんな不毛な恋心など
この桜のように 散って仕舞えよ
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