初恋

「さよなら」と言った私はまだ
君を思い出にできない

久しぶりに待ち合わせして
二人でよく行ったあの喫茶店まで
君の部屋を訪ねたらきっと
上手に台詞を言えない

同じ事を考えていた
そんな日々が愛しかった
今だけは違うといいけれど
君が君であるために私は
嘘をつくよ
「もう好きじゃないよ」

もっとずっと未来で出会っていたのなら
私たちはまた惹かれあうのかな
「ごめんね」だなんて大人にならないで
もう他人みたいだね
「さよなら」と言った私はまだ
君を思い出にできない

伸びた髪の毛をしまい込んだ
マフラーはたったひとつの君のプレゼント
あの日の言葉と矛盾しながら
気持ち加速する
「元気してる?」

もっとずっと未来で出会っていたとして
同じ事をまた繰り返すのかな
なんでもっと早くに気づけなかったんだろう
強がりな心に
「さよなら」を拾った君にとって
私はもう思い出

セピア色に染まる街と
もう降りる事のない駅のホーム
二人でいた日々は
まだ昨日の事のよう
色褪せないまま
続いてるよ

もっとずっと未来で出会っていたのなら
私たちはまた惹かれあうのかな
愛に変わらない恋は死んでゆくの
頭では分かってる
「さよなら」と言った私はまだ
君を初恋にできない
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