アルマゲドンを見た

昨日の夜 君とアルマゲドンを見た
初めて見たわけじゃないのに
心がざわついて 滲む視界の中に
傾いた天秤の影を見た

もしも僕の命で
この星を救えるとして
人の心に残るような英雄に
落ちこぼれな僕でもなれるだろうか
なんとなく生きてきただけなのに
世界のためといえど
やっぱ死ぬのは怖かった

僕の命とその他全人類の命
どっちが大切かは分かってる
誰か僕の代わりになって
なんてことまで思ってしまった

昨日の夜 僕はアルマゲドンを見た
初めて見たあの日のように
心は凪ぎいて 閉じた視界の奥で
冷たい夢の中を泳いだ

もしも僕の命で
世界を治せるとして
争いも病も全部消し去って
みんなのために僕は死ねるだろか
守りたいものなんてないのに
いつからか握っていた
この怖さはなんなんだ

僕の命とその他全人類の命
どっちが大切かは分かってる
誰かのために生きられるような
人になれたらよかったな

自分のことすらも愛せないし
愛とかなんかよく分からないし
それなのに気づいてしまった
生意気にも自分が大切だった
テレビの電源を切れば
そこには独りの僕が映ってた

誰かが言っていた最後の晩餐を
共にしたい人はいるかい
最初に浮かんだその人こそが
君の一番大切な人なんだ

僕の命で明日もしも
この世界を救えるなら
最後の夜はまた君と
二人で映画を見たいな

僕は幸せだったんだね
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