五泉慕情

思い遥かに夢路を辿り 観音堂の大いちょう
遠く汽笛がこだまして あなたの呼ぶ声聴こえます
菅名(すがな)のすそ野 山百合よ
あゝ忘れ路の風の音

黒塀づたいにあなたを追えば しだれ柳の浮世風
掘に寄り添う夫婦鯉 あなたの姿を映します
灯り切ない馬場町(ばばちょう)よ
あゝ目に浮かぶ絹の里

ふたり歩いた別れの夜の 涙に濡れる恋すすき
鮭とり舟のかがり火に あなたの淋しい横顔が
早出(はいで)の水面 また浮かぶ
あゝ想い出の五泉のひとよ
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