岸辺のダンス

壊れかけたぼくは 壊れて行けばいい
汚れかけたきみは 汚れてしまえばいい

嘘ばかりふたりは 黒い壁に吐いて

変わらないものは 変わらないままでいい
腐りかけたものは 腐らせておけばいい

バカなタンゴを 踊り続けて
夜のベンチに 酒を撒いて
草を背にして 瞳閉ざして
きみが待つのを ぼくは気付けない

忘却の岸辺に やっと辿り着けた
砂を握ると 記憶がこぼれ落ちてゆく

夢を捨ててふたりは 泥の舟を沈めた

腰でタンゴは 朝を嫌う
夜のランチは 舌と舌で
朝が頬まで 染まるまでには
きみの全てを 食べてしまおう

この海の果てには 罪をさばく鍵が
流れ落ちて今ここ 濡れた身体で踊ってる

忘却の岸辺に やっと辿り着けた
砂を握ると 記憶がこぼれ落ちてゆく
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