きみのうつり香

あの子が母さんと手を繋いで去ってゆく
あの子もまた父さんが迎えに来た
先生僕をかまわなくていいんだよ 先生
雨を打つジャブで 今日もシャドウボクシング

あの子がまた僕にイタズラをした
あの子もまた僕に殴りかかってきた
先生僕を 僕をほっとけばいいんだよ 先生
色々と大変なのは わかっているから

でもかまってほしくて わざと転ぶんだ
雨に濡れた僕にくれた 水色のハンカチ
ほのかに甘く 溶けてしまいそうなその匂いは
きみのうつり香 孤独な少年の心

人前に立った時は何にも言えないさ
足がガタガタして声も出ない 声も上手く出ないよ
笑われるのには 慣れているけれど 辛いさ
やっぱり僕はいつも我慢している

夢の様な儚い日々の中で得たもの
いつだって僕はそこに縋って生きてる
友達をかばった時の「偽善者」って言葉が
胸に刺さった
隣にいた君の「何ても話して」って言葉を
思い出した

冷たい風があの日を漂わせる
その手繋いでもいい?って聞いた自分を
思い出した

ふんわり甘い溶けてしまいそうなその匂いは
きみのうつり香 誰かの香水の匂い
きみのうつり香 それは青春の甘い香り
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