針と糸

柔らかい布に 糸を通す
形も決めぬまま 幸せはそんなもの
ほころびもすれば 針も使う
いつからその先を 怖れてる

刺されば痛い 涙も痛い
止まらない血も 知っている

型紙のない服を
さみしさが着せたがる
つまらない嘘までつく
私を放し飼いにして

よそ行きに選ぶ 色はいつも
あなたと歩くのに 相応しい花の色
まちがいで戻る 道の距離が
次第に長くなる 曲がり角

心が嫌い 言葉も嫌い
瘡蓋はすぐ 乾かない

着せ替えもない服を
甘やかす腕のなか
優しいは傷にもなる
あなたは篭りきりのまま

刺されば痛い 涙も痛い
止まらない血も 知っている

型紙のない服を
さみしさが着せたがる
つまらない嘘までつく
私を放し飼いにして
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