雨やどり

着物のスソつまんで 見知らぬ軒先雨やどり
ぬれた背中冷たく ぽとりとしずくが素足に落ちる
通り過ぎる傘に とりのこされてたたずむ私
待ちわびたように 小窓開いて声かけた人
赤く染まる頬 誰も知らない日暮れて雨やどり

切れた鼻緒すげかえ 口数少なく頭さげ
名前さえすら告げずに 人影とだえた小降りの町へ
響く鐘の音に せかされながらかけだす私
追いかけるように 傘をさしかけほほえんだ人
高なる心から 恋がめばえる日暮れて雨やどり

いつか消えるような とても小さい過去の出来事
降りしきる雨に 耳をすませば聞こえてくるの
あなたのささやきが 忘れかけてた日暮れて雨やどり
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