季節はずれの走馬燈

藍染浴衣で母さんが
夜店ですくった赤い魚
いつの間にか子供が生まれ
小さな世界で幸せそうです
遠くへ逝った母さんに
今年もお祭りみせたくて
窓辺にかけたあの日の浴衣
震えているのは何故ですか
秋の祭りの笛の音が
季節はずれの走馬燈に
ぽつんと あかりを
つけてくれました

一枚しかない母さんの
哀しみ知らない頃の写真
いつの間にか黄色くなって
それでも笑顔が綺麗です
やさしく匂う母さんの
桔梗の花の咲いてる浴衣
僕の大事なあの人に
着てもらってもいいですか
心にしみる虫の音が
季節はずれの走馬燈に
ぽつんと あかりを
つけてくれました
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