春に咲く

桜を見て
「綺麗だな」としか
思わなかった僕は
もういない
思い出せなくなってしまった

「君にも見せたい」
「君と一緒に見たい」
感情が手を叩くように増えていく
散り際も知らず

鮮やかに染まる今
街も人もあの駅の改札も
春のせいって理由をつけても
騙せない

君がいる景色には
色のない瞬間はなかった
気付くのが少し
遅くなったのかな
ねぇ、桜

巻き戻して
冬を歩こう
寄り添いながら
十分暖かいんだ二人でいれば
春も要らないくらい

「元気でいてね」と
笑う君の心はもう
夏の星座だ

儚げに瞬いた
この素敵な夜空が愛しくて
誰のせいって理由を探しても
意味はない

懐かしい景色には
相変わらず足りない君だけが
今更
桜も笑ってる

「さよなら」でさえも
嘘だと思った
いつだって君は笑っていたから

欺いてもう一度
今度はもう間違わない
春を越えて
夏も越えて
秋も冬も
終わらせないよ

鮮やかに染まる今
街も人もあの駅の改札も
春のせいって理由をつけても
騙せない

君がいる景色には
色のない瞬間はなかった
気付いたよやっと
遅くなってごめんね

好きだったんだ
ねぇ、君が
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