五つ星ホテルの騎士

午前零時 ホテル警備員の ボクは
営業終わった
最上階のバーの 監視カメラを止めて 巡回中
誰もいない ワインセラーから 取り出す
オーパスワンを
グラスに注いで 映った夜景と 一緒に飲みほす

最上階から B1へ降りて 厨房の
ケーキをひと舐め B2の仮眠室へ
春樹を読みながら 眠りにつくボク
正社員が帰った後の ホテルの警備室は バイト天国

社会の バイトテロ批判を よそ目に 今夜もボクは
テロのない国のホテルで バイトテロを決行中
テロに自己顕示混ぜるから 叩きたくなる
犯行声明のない バイトテロなら 気にされない
犯罪じゃなく 世間体から 身を守る為だけに
ホテルも 世間に対する警戒だけ いっそう強め
形式的批判に 形式的警備を 増やし
空気読めと言われ 無駄に 空調を キンキンに強め過ぎて

東大前で 高校生に 受験生が刺された
ホテルから急に さすまた訓練をヤレと 指示されて
五つ星ホテルと さすまた ミスマッチすぎて
警備服を 中世の鎧に着替え さすまたを抱き
「館内を巡回せよ」と 支配人の思いつきで
ホテルは ブランドイメージへの 警戒強め過ぎてる
創業100年のホテルの ロゴマーク
インディアンしかいない アメリカになぜ
中世ヨーロッパ風の ブランディング 警備員 巡回中
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