五坪ほどの土地でも

いつか家を建てる日を夢見て
私は五坪ほどの土地を買おう
無論 自由に寝かせておいて
移りゆく季節を眺めていよう

風が運んで来た小さな種子がこぼれて
春には芽が出て見知らぬ草が生えるだろう

そしたらそこに垣根をこしらえ
二人で植物園を作りましょう

美しい花たちに私は囲まれて
愛したあなたのことを考える
あなたと一緒に暮らしてゆくために
毎日を一生懸命生きてゆこう

夏の暑い日差しいっぱい浴びて
私は 私は思い続ける

なんて私は幸せなんだろう
この幸せはなんだろう

年老いた時には子供たちの世話にならないように
私は五坪ほどの土地を買おう
日の当たる縁側で過ぎし日に感謝して
静かに私は旅立とう

そしてささやかなその場所に骨を埋め
年月が経てば名もない花が咲くだろう

だから五坪ほどの土地を買おう
そこには流れる歌があるから
そこには永遠の安らぎがあるから
そこには素晴らしい地上があるから
×