ワンルーム

そういえば今朝実家からリンゴ届いていたよ
ちゃんと食べてるか―ってさ
たまには電話してあげないとね
ねぇまだ寝てるのもうお昼だよ バイト行ってくるね

いつしか撮ったフィルムカメラ
君の寝顔ぼやけた輪郭
曖昧なくらいがよかった
ずっと一緒にいたくて二人で暮らし始めたのに
少しづつずれてゆく

扉が閉まる音で起きてテーブルの上 歪なうさぎ
ねぇ知ってた?
うさぎって本当は寂しくても死なないんだって
そういえばいつの日か
君がこっそり教えてくれたっけな

六畳一間ワンルーム
夢ばかり見ているこんなバカな俺だからさ
もしも臆病風邪が吹き込んで
君をさらってしまっても
ちゃんと繋ぎ止められないよな

蓋を失くしたコカコーラ
気が抜けて甘ったるいだけだった
案外だらしないとこ似ていた
ふと居ないことに気づいて
なんだかホッとしてしまった
そんな自分が怖かった

君が沈んだ布団を抜け出し
パソコンの明かりに潜り込んで
ねぇ私のことちゃんと愛してる?
そういえば一度だって
君は聞いたりしてこなかったな

六畳一間ワンルーム
俺とギターと君とじゃこんな部屋は狭すぎるよな
悲しいけれど二人はこれ以上上手くはいかない
君もずっと気づいていたんだろう

六畳一間ワンルーム
夢ばかりみているこんなバカな俺だけどさ
きっとなんとかやるさ大丈夫
だから心配なんてしなくていい
優しさと愛は違うみたいだ

さよなら、ありがとう
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