フリージア

小さな庭の花壇にいつも
綺麗に咲く黄色い花
まるで明日を指差すように
真っ直ぐに前を向いていた

踏み出す勇気が
持てない時も
逃げ出すことが
出来ない時も
誰にだってあるさ

そんな時、
わたしを支えてくれるのは
いつかの君がくれた
「がんばれ」って言葉

春になったら
このセカイを
鮮やかに染める黄色い花は
思い出の中で浮かぶ
君の笑顔のように咲いていた

小さな恋の蕾がいつか
綺麗な花を咲かせるまで
大切な想い 育みながら
真っ直ぐに君を見つめてた

君の視線を追いかけるたび
悲しくなって
胸がぎゅっと締め付けられて
気付いたんだ

こんなにも
苦しくなってしまうのは
「ああ、そうか」
「いま確かに」
恋をしている
大人になったら
君のことも
思い出の1ページに
なってしまうのかなあ

鮮やかに咲いている花の中で
ぽつりと雨が落ちた

君の心に棲んでいるのが
わたしじゃなくても いいの。
側に置いてくれるだけで

こんなにも
誰かを好きになれたのは
わたしにとって君が
はじめてでした

恋をしていた
焦がれていた
その笑顔を見るたび
苦しくなった
優しくて広い
君の背中に
ぎゅっと抱き付きたい

春になったら
このセカイを
一面鮮やかに染めていく
あの花のように
笑う君は
幸せを咲かすフリージア
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