月を落とす

黒に青を混ぜたような空
数多の光の中ひときは輝いている
そのどれもに手が届かず見上げているだけ
空は飛べないからあなたの元へは行けない
だから言葉巧みに、近づけて
だから伸びるその手の、上澄みを撫でるように

まるで
街頭に背を向けた僕は君の手を取れない
もっとここまでもっとそこまで
どこにいるかもわからなくなって
空に灯篭が消えても
落ちてくるのを待っているんだ

朝に影を落としたような空
薄明かりの中光を吸い込んだ足元
1人の歩幅に同じだけ着いてきてる
雲隠れした表情、嘘ばかり吐く行動
後悔も狼狽も、宗愛も蒙昧も
飲み込む帳の中からひとつ選んで黒の縁に解けるように

まるで
太陽に背を向けた僕は君の手を取らない
きっとここまできっとそこまで
手の届くほど鮮烈なって
夜の象徴が世界から消えても
落ちてくるのを待っているんだ
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