fiLament

幽霊列車の一両目に座って
何故乗り込んだのかを暫く自問した
仕様が無いだろう こうするしか無かったんだ
君の顔 確かめて漸く自答した

次の駅で降りよう
ごめんね やっぱり連れていけないよ

とても焦がれた愛を焚べたから
とても綺麗な夕焼けになりました
これも解っていた 解っていたけど 解らなかっただろう
遠ざかる君よ この空を見て欲しい
そして こんな世界は忘れてしまえ

最終列車の異物に成り果てていた
幽霊みたいなのは僕だろう きっとそうさ
想いの上澄みが内側に溜まっていったとしても
心の穴を埋めてくれる筈もない

目は合わせないようにしたのに
だから今も鮮やかに泣く瞳が

決して綺麗な愛ではないから
決して綺麗な記憶にはならないな
それは嘘ではない 矛盾ではない 真実でもないだろう
遠ざかる君よ まだ空を見ているかい
ならば背を向けたくて仕方ないのだろう

とても焦がれた愛を焚べたから
これも解っていた 解っていたけど 解らなかっただろう
この空は

君と笑い合えたことで 泣き合えたことで
君に会えたことで 見えなくもなりました
これも解っていた 解らない振りをしていただけで
その夕陽は沈んでいた
そして こんな世界は忘れてしまおう
こんな世界を愛していたのです
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