越後草紙

胸にからんだ 未練の糸を
何故にさばけぬ 経ち切れぬ
越後 みちゆき 親不知(おやしらず)
ひと冬越しても冷めやせぬ
あなた恋しと この体
雪に晒(さら)して 命をしぼる

逢うは別れの 運命(さだめ)が辛い
薄いえにしの 身が辛い
越後 海鳴り 日本海
ちぎれて舞い散る波の花
思い切れよと 吹く風が
愚図(ぐず)る私の 心を叱る

肌もふれずに どうして耐える
夢の名残りの 憎らしさ
越後 矢絣(やがすり) 単帯(ひとえおび)
ほどけば涙がからみつく
抱いてください もう一度
声を殺して あなたを忍ぶ
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