花弁

乱れた髪 うつむく顔 こけた頬に おちる花
うつろぐ季節の変わり目に 一歩 足を出した

「さようなら」が 脳裏を巡る頃 涙が瞼たたき
開かれた景色のその先に 小さな肩が見える
あと何十センチのこの距離は 腕を伸ばせば届くのに
震えているこの右腕が 縛られたように固まってる

ほら目の前降り注ぐような ひらひら舞う花が
さえぎって見つめあえない僕ら
遠回りばかりの繰り返し 見慣れたその顔を
あげたのなら 聞こえそうな「さようなら」

貼り付いた唇はなれても 出るのは吐息ばかり
気の利いた台詞の一つさえ 聞こえてこない
まるで人生は花のように 開いて散ってまた開く
土をなめるほど落ち込んで 涙に打たれて芽を伸ばす

そう1、2、3で溶けてしまいそうな 真夏の氷のような
頑丈そうで透明な僕ら
無駄とわかった未来さえ 胸でぎゅっと抱えながら
歩んでいた 巡る季節の中

言葉に慣れなかった言葉が あふれている こんなに苦しくも
淡く 柔く 白く 切ない思いが胸の中
ああでもない こうでもない ぐるぐる巡って 消えていく
溜息さえ伝えられず

目の前降り注ぐような ひらひら舞う花を 踏みしめて はなれていく僕ら
遠回りばかりの繰り返し 見慣れたその顔を
見つめたまま 本当の「さようなら」

乱れた髪 ぬるい風が こけた頬を 乾かしたら
花の雨に傘もささず 歩く
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