湖愁

悲しい恋の なきがらは
そっと流そう 泣かないで
かわいあの娘よ さようなら
たそがれせまる 湖(みずうみ)の
水に浮かべる 木の葉舟

ひとりの旅の 淋(さび)しさは
知っていたのさ 始めから
はぐれ小鳩か 白樺の
こずえに一羽 ほろほろと
泣いて涙で 誰(たれ)を呼ぶ

夕星(ゆうぼし)一つ 又一つ
ぬれた瞳を しのばせる
思い出すまい なげくまい
東京は遠い あの峰(みね)を
越えてはるかな 空のはて
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